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あけましておめでとうございます。 [冴樹 輝のひとり言]

ものすごく久しぶりの更新です。

 

小説が中々進まず、殆ど休止状態になってしまっていますが、やめるつもりは全くないので、これからも続けていきます。

 

息子が今年4月~中学3年となり、受験生になります。

大学に行かない選択肢はあるかと思いますが、高校に行かない選択肢は「今の時代」あり得ないので、何とか希望の高校に合格してほしい、と祈るばかりです。

もっと大変になりそうな予感がしますが、本年もどうかよろしくお願い致します。

 

皆さまにとって、良い一年でありますように。


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「呪法医師・鴻3~黄泉の吸血島~」について [冴樹 輝のひとり言]

Fc2サイトで書き始めていた小説ですが、話が全く進まない状況から、全面的に見直す事に致しました。

これまでの話で、筋が当初と違ってしまった箇所の修復とか、あらすじの組み直しなど、ほぼストーリーが一新する事になると思います。

長らく筆が止まってしまい、申し訳ない気持ちで一杯です。書き始めましたら、真っ先に発表します。

新しく生まれ変わる「呪法医師・鴻3~黄泉の吸血島~」・・・見捨てずに、読んで頂ければ幸いです。


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すみません・・・。 [冴樹 輝のひとり言]

色々ありまして、ただ今中断中です。

小説ブログではありますが、小説としての更新ができないので、短編を中心としたブログとして更新していきたいと思います。

いつかまた、小説ブログとして再開したいですが、それまでの間は、短編や詩などの短いストーリーブログになります。よろしくお願い致します。


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2012-04-09

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小説ブログ、少しずつ進行中です。 [冴樹 輝のひとり言]

fc2で書いている小説ブログですが、少しずつ進んでいます。

宜しければご覧ください。

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  「魔界遊戯~Death Game~」

「呪法医師・鴻3~黄泉の吸血島~」

http://sephirothmagic.blog20.fc2.com/


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すみません。 [冴樹 輝のひとり言]

新連載スタートです、と5月にアップしておきながら、全く進んでおりません・・・。

 

大体のあらすじは出来上がっているのですが、詰めが甘くてストーリーとして成立しない状態にあります。スパイスと言いますか、味付けみたいな要素が欠けていまして・・・現在、ネタ探しをしています。

 

早く書きたいのと、書けないのとで、ジレンマに陥っていますが、再開できるように頑張ります。見捨てず(?)お付き合い頂ければ幸いです。

 

よろしくお願い致します。


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新連載スタートです。 [冴樹 輝のひとり言]

fc2の別ブログで、連載がスタートしました。

まだ、最初のみしか書いていませんが、おいおい連載していきます。皆さま是非お読み頂けると嬉しいです。

 

「呪法医師・鴻3~黄泉の吸血島~」 

http://sephirothmagic.blog20.fc2.com/

 

 よろしくです。


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「前書き」 [死魔の招待状3~暗闇の呪法医師~]

やっとプロットが出来上がりましたので、書き始める事が出来るようになりました。

 

・・・・・・と言いつつ、きっとまたプロットを外れたストーリーになっていくんだろうな・・・・・・と思ったりもしますが(^^;)

 

もっとも、別ブログと全く同じでは、書き直す意味がないわけで、違った趣向で書いてみよう、と考えています。

 

とにもかくにもようやく始まりました・・・・・・。最後までお読み頂ければ幸いです。

 

 


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「序 章/静かな夜明け」 [死魔の招待状3~暗闇の呪法医師~]

深手を負った傷も癒え、麗魔は「死魔」に戻って来た。王位継承の闘いに終わりはない。だが、彼は「占い師・蛇骨麗魔」として、栄九丁目に戻って来たのだ。

何よりも、誰よりもこの日を待っていたのは、使用人の臥龍 縲である。縲は、「お帰りなさいませ」と言いながら深々と一礼したが、そこに感情はない。麗魔も、うなずくだけであったが、その目は安堵の色を浮かべていた。

素っ気ない挨拶を交わしてから、麗魔は一人で自室に入って行った。・・・・・・その瞬間、彼はいつもと違う気配に気がついた。

「そこにいるのは何者か? 姿を見せよ」

恐ろしくも冷たい・・・・・・美しい声が、麗魔の自室に木霊した。

夜明けが近い午前四時四十二分。名古屋市中区栄九丁目の占い館「死魔」・・・・・・。この場所へは、「死魔の招待状」がなければ、決して辿りつけない。五丁目までしか存在しない筈の栄にある九丁目に足を踏み入れる事は、通常ではあり得ない。

「招待」あればこその九丁目。・・・・・・それなのに・・・・・・。しかも、そこは「占いルーム」ではない。麗魔の聖域とも言える、彼の自室なのだ。入り込める筈もないその空間に、何かの気配を感じる事そのものが、信じ難い光景であった。

「出て来たらどうだ?」

静かに、そして鋭い声で麗魔は言った。しばらくして、「それ」が姿を現した。

・・・・・・一人の男であった。麗魔と並んでも引けを取らない、たおやかな美しさと全身からあふれる近寄りがたい雰囲気とを併せ持った漆黒の青年がそこにいた。

「こんな時間に珍しい客だな。招待した覚えはないのだが」

麗魔は、特に驚きもせず静かな口調でそう言った。紫の髪と瞳、そして限りなく深紅に近い唇と、紫色に輝く爪の色・・・・・・。そのどれもが美しかった。

「私を覚えているか?」・・・・・・物静かな声で、男は聞いた。

麗魔と向かい合う男の、何と美しい事だろう。・・・・・・麗魔が紫なら、男は漆黒の美しさを漂わせていた。漆黒と言えば、縲もそうだが、彼とはまた違う美しさである。膝までかかるストレートの髪と、その瞳、そして、透き通るような白い肌と、紅い唇・・・・・・。そのどれもが美しかった。

男の問いから、少しの沈黙が流れた後、物静かな声に反応するように、麗魔も穏やかな口調で返答した。

「呪法医師・鴻。自らの呪法を用いて、いかなる病をも治せる医者。・・・・・・死人すら甦らせる事が可能ではないかと言われる程の腕を持つ・・・・・・。確か東京の二十三区内にいた筈だが・・・・・・?」

その時。呪法医師・鴻の漆黒に輝く瞳が鋭い光を放ち、麗魔の紫色に輝く瞳を捉えた。

「名古屋市内で医院を開業したので、挨拶に伺っただけ・・・・・・と言いたい所だが、過去に一度、私の患者さんの命を奪った事があった筈・・・・・・。私の治療を受けた患者さんを抹殺した罪は、あまりに大きい・・・・・・」

「借りを返すためだけに、わざわざ名古屋市内に開業したのか? 東京の医院を閉めてまで・・・・・・? ご苦労な事だな」

その口調は、限りなく呆れているようではあったが、言い知れぬ畏怖が漂っていた。

「借りたものは返すのが礼儀・・・・・・。私の患者さんを死に追いやった責任は重大・・・・・・。今まで貴方から謝罪があるかと思って黙っていたが・・・・・・一向にその気配がないから、こちらから出向いた。・・・・・・もしこのままなら、一戦を交えるのも致し方なかろう・・・・・・。決めるのはあくまでも貴方・・・・・・蛇骨麗魔次第・・・・・・」

恐ろしいまでの静かな声と落ち着き払った物腰は、不気味以外の何ものでもない。返答がえられない事が分かると、

「今日の所は挨拶だけ・・・・・・という事にして、これで帰るが、いずれ一戦を交える事になるだろう。・・・・・・覚悟しておくが良い・・・・・・占い師・蛇骨麗魔・・・・・・」

それだけを恐ろしくも冷徹に言い放ってから、鴻は「死魔」を後にした。

その容姿は、麗魔よりも一回りほど年上に見えたが、麗魔が人外の悪魔である事を考えると、鴻もまた人間なのか、そうでないのか全く不明である。

「招待」もなしに死魔を訪れ、さらに「許可」もなく部屋を出られるとは・・・・・・。麗魔と対等に接する事が出来る辺りは、人間ではなく人外を思わせるに充分だった。

時刻は、午前四時四十九分を指していた。その間、わずか七分のやりとりであった。

「来訪時刻の語呂合わせが「死人」、帰りが「死苦」か・・・・・・。私に謝罪を求める前に礼儀からは外れているが・・・・・・まぁいい、お手並みを拝見しよう。・・・・・・相手が呪法医師なら、不足はない」

半ば感心したような声が、一室に冷たく響いた。その後、しばらく沈黙が流れた。

 

麗魔への挨拶を済ませた鴻は、名古屋市内にある自らの住居兼医院に戻っていた。 

彼が開院した地域は定かではないが、中心を外れた静かな地域であるらしい。標高は小さいが、山もある地域であるとの情報も交錯していた。

呪法医師・鴻が開院した「鴻医院」は、そんな地域に小さな看板とともに建っていた。

連日連夜、患者たちで一杯の医院は、それだけで押し潰されそうな様相を呈していたが、名古屋市内というだけで、場所も分からない、特定されないこの医院に、何故これだけの患者が来るのだろうか。

病で苦しみ、どうにもならない中で、吸い寄せられるように、気がついたらここの前にいた・・・・・・とは、ある患者の弁だが、完治したら最後、どう探してもたどり着く事は不可能なのだった。

病気でない限り、その門をくぐる事は出来ない・・・・・・。

「鴻医院」の入院ベッド数は、僅かに十五床・・・・・・。それだけ患者が多いのなら、大きな「病院」として始めてもよさそうなものだが、広げる気はないらしい。呪法医師が経営するのは、あくまでも小さな町医者としての「鴻医院」なのだ。

地域同様、ここの院長の素性を知る者は誰一人いない。 呪法医師の名は全国的に知られているだけに、何者かを疑う者も大勢いただ、誰一人口には出さない。風の便りに「呪法医師を怒らせて生きて帰った者はいない」と聞いているから、だろうか・・・・・・。

それとも、呪法医師の出現によって、名古屋市の象徴である蛇骨麗魔との関わりを恐れるからなのか・・・・・・。全ての謎は、患者たちの心の奥底に封印されていた。

鴻は、そんな住人たちの思いをよそに、ごく普通の町医者として生活していた。

「私の忠告に耳を貸さないあたりは、実に彼らしい・・・・・・。自尊心と誇りと気高さの塊のような・・・・・・。変わってないな」

脳裏に麗魔の容姿と声を思い浮かべながら、鴻は静かに呟いた。彼は元々穏やか過ぎる性格を持つ男である。出来る事なら闘いたくない。争わず、闘わず、平穏無事に・・・・・・それが鴻の願いでもあった。

だが・・・・・・そんな彼を怒らせたが最後、対等に闘える者がこの世に何人いる事か。普段が穏やかなだけに、その怒りは凄まじいものになる。

恐らくは麗魔と対等、もしくはそれ以上の実力を兼ね揃えている筈なのだ。

どこまでも穏やかな性格とその落ち着いた物腰が恐怖を誘う・・・・・・。それが「呪法医師・鴻」なのである。

そもそも彼は人間なのか、そうでないのか・・・・・・。分かっているのは、男であるという性別と、そして何世紀も前から、その美しい容姿に変化がない事・・・・・・それだけだ。

透き通るような白い肌に、腰までかかる漆黒の髪とその瞳、そしてどこまでも紅い唇・・・・・・。

麗魔が「紫の麗人」なら、彼はさしずめ「漆黒の麗人」か。

老若男女問わず、全てを虜にしてしまうような、魔性の美貌。唯一、麗魔と違うのは、その穏やかな物腰もみであろう。

「蛇骨麗魔・・・・・・。次に会うのを楽しみにしている」

感情のない美声が、一人佇む院長室に木霊した。

 

 

 


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「第一章/五年前の借り 其の一」 [死魔の招待状3~暗闇の呪法医師~]

その頃、麗魔は「死魔」の自室でソファに腰掛けながら、鴻と出会った当時を回想していた。

 

五年前の事である。

呪法医師・鴻は、東京二十三区内で「鴻医院」を開業していた。そして麗魔はこの時、少し離れた二十三区内で「占い館・死魔」を運営していたのだった。

誰もが認める実力を持つ鴻の治療は、二十三区内だけでなく、全国各地から、そして時には海外からも噂を聞きつけた者たちの希望として存在していた。麗魔が鴻の元に現れたのは、そんな時だった。

「私に何か用か?」

何の前触れもなく、診察室に現れた麗魔を見据えながら、鴻は静かに問いかけた。

「呪法医師・鴻とは、お前の事か?」

「聞く前に自分から名乗るのが礼儀というもの。第一、初対面でお前呼ばわりされる覚えはない」

ぶしつけな質問に対して、鴻は静かに答えた。だが、その声は、恐るべき冷酷さを放っていた。

「名は蛇骨麗魔。二十三区内で占い館「死魔」を営む占い師だ」

静かに冷たく、そして反感を込めた視線を向けて、麗魔は言った。

「占い師・蛇骨麗魔の噂は聞いている。だが占い師が、何故医師である私に敵意を向けるのかが理解できない。占い師に恨みをかうような事は一切していない・・・・・・」

あくまでも穏やかな鴻の態度とその口調が、麗魔の神経を逆撫でさせた。

「ならば聞こう、呪法医師。病の治療にタロットカードを用いると聞く。・・・・・・それは何のためか?」

「・・・・・・私は占い師ではないから、カードを使っての未来予知は出来ない。・・・・・・占いとして使っている訳ではないのだから、業務妨害だとも思わないのだが? 使っている事自体が気に入らないとでも?」

もちろん、麗魔が認める訳がない。占い師であれば、単なる同業者として見る事も出来るが、相手は呪法医師である。どのように使おうと、タロットカードを使用するという行為自体を、彼が許す筈もなかった。

「必要であれば、どんな手段でも取る。・・・・・・それだけだ」

鴻は、黙ったままの麗魔に向かって、静かにそう言った。

「先日、私の元を訪れた質問者から聞いた話によると、手術の際の道具はタロットカードと他数種しかないらしい・・・・・・。占い以外でタロットカードを使うのはやめて頂きたい」

「タロットカードの使用・・・・・・それが私の治療手段だ。それこそ、業務妨害になる」

「・・・・・・」

麗魔に言葉はなかった。呪法医師は静かに続けた。

「その私の患者はどうした? 何を聞き出せた?」

「・・・・・・タロットカードが手術室にある、という事だけだ。他に聞き出したかったが、口を割らなかったので、こちらで対処させて頂いた」

「対処とは?」

「何かが怖いのか、べらべらとよく喋ってくれたが、肝心な事に関しては、何をどうしても口を割ろうとしなくてね・・・。その上、私の占いの結果を信じなかったバカ者だ。殺しはしなかったが、恐らく生きてはいないだろう」

呪い殺したとでも言うのだろうか・・・・・・? 鴻はこの言葉に深いため息をついてから、これには答えず、話を切り出した。

「占い師・蛇骨麗魔・・・・・・。私は医師であって、占い師ではない。タロットカードで未来を予言する知識は持ち合わせてはいない・・・・・・。何故それが分からない?」

鴻は、毅然とした声で、語気を強めた。

「・・・・・・明日、「死魔」に呪法医師の患者が二人ほど来る事になっている。重大な悩みではないが、ここの話を聞き出すのには都合が良い・・・・・・。色々と探らせて頂く。・・・・・・どちらか、からは聞けるだろう」

「そこまで言うなら、自分の占いで探れば良いのでは?」

「私が呪法医師の空間に入り込むとすれば、空間同士の衝突は避けられない。・・・・・・それでも良いのか?」

愉しそうに話す麗魔の声は、突き刺さるような冷たさと残虐性を帯びていた。

「確かにな。・・・・・・お互い、異世界に棲む者・・・・・・。どちらが入り込んでも、空間にとっては異物となる。空間・・・・・・即ち結界・・・・・・」

「・・・・・・どうしても言えないというのであれば、空間の衝突もやむを得ないが・・・・・・」 

「・・・・・・」

黙ったままの鴻に向かって、

「失礼する」

これだけを言い残して、麗魔は去った。

一人、診察室に佇む呪法医師・鴻・・・・・・。 

「占い師・蛇骨麗魔の事は知っていた。知ってはいたが、あそこまで自尊心と誇りが高ければ、自分を追い込むだけ・・・・・・。他人と距離を置けば置くだけ、自分を孤独に追いやり、殻に閉じこもるだけだという事が分からないのか・・・・・・。それとも知ろうとしないのか。 ・・・・・・きっと凄まじいほどの辛酸を舐め尽して来たのだろう・・・・・・。そんな目をしていた」

麗魔の心の奥深くにある傷を、鴻は見抜いていた。信じるのは自分だけ・・・・・・。他の誰一人として、心の中に入る事を許さない、彼の孤独・・・・・・そんな麗魔を心から哀れと思う呪法医師・鴻は、彼の性格からして、闘いが避けられないのだという事を予感していた。

 

その頃、麗魔は「死魔」に招待した質問者の悩みを聞いて、結果を出していた。

「ありがとうございます」

結果に感謝する質問者は、五十代の女性であった。名を安原千秋と言った。

「あなたはあの鴻医院の患者さんだそうだが、何か知っている事はあるか?」

不意に麗魔が聞いた。

「え?」

驚き余って麗魔の顔を凝視する千秋。

「タロットカードを治療に役立てていると聞いている。彼の治療方法について、具体的に詳しく知りたい」

「え? あ・・・・・・」

戸惑う千秋。占いが終わったのなら、早く帰りたい。彼女の率直な思いだろう。呪法医師を怒らせても怖いが、麗魔の機嫌を損ねても怖いのだ。千秋は、どうして良いか分からない恐怖に顔を歪めていた。

「言えないか?」

「お話したくても、その、知らないんです。使用されているのが手術室である、という事は分かるのだけれど、手術室に入る時は麻酔で眠っていますから、目にする事は出来ません・・・・・・。他のお医者さまや看護師さんも実際には見た事がないと思います。・・・・・・占いとして使っている感じは、一切ないと思います・・・・・・」

この言葉に嘘はない。それは麗魔にも理解できたが、その答えは以前と同じものだった。彼は深いため息をついてから、

「私の役に立ってもらえないか?」

と切り出したのである。

それはもう、麗魔の役に立てるのであれば、死んでも良いという思いになる。最大限の不安を抱きながらも、千秋はうなずいた。そうするしかなかったと言った方が正しいかもしれない。

「入院をしているそうだが、出来る範囲で良い・・・・・・治療方法を盗み出して欲しい」

千秋は、殺される事を覚悟で

「ご自分で盗む事はしないのですか?」

と聞いてみた。じたばたしても始まらない・・・・・・。そう思ったら、度胸が据わった。

「患者でない限り、鴻医院の真髄にたどり着く事はできない。もし出来たとしても、瞬時に空間が歪んでしまう・・・・・・。だからこそ、鴻医院の患者でなければダメなのだ」

「空間が歪む? 真髄?」

聞き慣れない言葉に、千秋は不思議そうに聞き返した。

「私の「死魔」が、「死魔の招待状」を持たない者に存在を知らせないのと同じように、彼の鴻医院もまた、患者以外にその存在を知らせない・・・・・・。つまり、共に異空間の世界だ。・・・・・・私が彼の領域に入り込んだ瞬間、その異空間は拒否反応を示す。拒否反応は、異空間の空気をかき回し、場合によっては空間そのものが消滅してしまうのだ。・・・・・・消滅した空間は、永遠に地上を彷徨い、獲物を狙う。・・・・・・」

「獲物、って?」

「消滅した原因を作った異空間・・・・・・それが獲物」

「・・・・・・」

「私が彼の領域に入り込んで、鴻医院の空間を消滅させたとして、彼が戻るには、私の「死魔」という空間が必要になる。・・・・・・異空間同士のぶつかり合いは、地球上の時間を狂わせ、破滅へと向かわせる事になる・・・・・・空間は、それぞれの結界だ。・・・・・・異世界の者が入り込める余地はない」

「・・・・・・でも、お互いにお話は出来るのでしょう?」

「心を閉ざした中であれば、という条件付きだ。何もしなければ、お互いの空間を行き来する事は出来る。普通であれば、会話も出来るし、共に過ごす事もできる。・・・・・・だが、私が彼の心の中に入り込もうとした瞬間、即座に空間は歪むだろう。・・・・・・会話だけでは、本当の事を話しているのか、嘘なのか全く分からない・・・・・・それは、彼も同じ事・・・・・・私の中に入り込む事は不可能なのだ。・・・・・・」

「人間並みに・・・・・・って事なの?」

「そうなるな。お互いの力を発揮する事は出来ない。・・・・・・つまり、私も彼と話していたり、接していたりする時は、何の力も持たない人間並みとなっている。・・・・・・仕掛けたのは私だが、人間レベルで話していても、何も掴めないのでね・・・・・・」

「それで、患者の私なら・・・・・・って思ったのね。あなたが仕掛けたのは、タロットカードの使用方法を知りたくて?」

「そう、仕掛けても聞けるとは思っていなかったが、きっかけにはなる筈だ」

麗魔の声は、静けさの中に冷たさが混ざっているようだった。 

「・・・・・・」

余計な事を言ってしまったかしら・・・・・・と不安になった千秋は、言葉が出なくなっていた。

「・・・・・・いずれまた会う時が来るだろう、呪法医師・鴻・・・・・・」 

少しの沈黙の後、千秋が口を開いた。 

「でも、もしこんな事が知れたら、ただではでは済まない筈よ。 私は鴻医院の患者である限り、危害はないから良いけど・・・・・・。それに、もし治療方法を聞き出せたとして、あなたと鴻先生が闘う事になったとしたら・・・・・・その空間の歪みとやらだけでは済まなくなるわ・・・・・・異空間同士の衝突なんて、考えただけでもゾッとする・・・・・・どちらが勝っても負けても・・・・・・辛すぎるわよ」

千秋は、両手で顔を覆った。泣いているのかもしれない。

「私を心配するのか?」

少し戸惑ったように麗魔が聞いた。

「だって、あなたは私の質問に最高の答えを出してくれたわ。病気で苦しい毎日を送っている私にとって、それがどれだけの慰めになる事か。・・・・・・だって、私はこの後すぐに鴻医院へ戻らないといけないんだもの。今日は外出を認められただけなのよ。・・・・・・ここに来る事は鴻先生も知らない。病気には注意が必要だけど天寿を全うできる、なんて言われたら希望が持てるじゃないの。・・・・・・まして、あなたに言ってもらえるなんて最高だわ。そんな助言、根っからの悪人には出来ない事よ」

こんな事を言われたのは初めてだった。しばらく黙っていたが、麗魔は

「病気への恐怖心を捨てる事が出来れば何でも出来る、と言っただけだ。あなたが抱える病は、未知の病原体・・・・・・。通常では完治はおろか、医者も見離すだろう・・・・・・。呪法医師でなければ、治療は不可能・・・・・・。だが、カードはそう告げていない。それはタロットカードが導いた答えなのだから、感謝するならカードの方だ」

かすかに涙が混じったような声を、絞り出すようにそう言った。そして

「あなたには頼めそうもない・・・・・・。次をあたる」

小さな、聞き取りにくい声で、ポツリと言った。

「私の病気が未知の病原体だと知るや、お荷物から逃げるように女を作って出て行った主人と、付いて行った息子を恨むつもりはないけど・・・・・・あなたのカードに救われたわ」

そう言い残して部屋を出る直前、千秋は

「私の息子、あなたと同い年の十六歳なのよ。結婚は早かったのだけど、子宝に恵まれなくて、不妊治療の末に授かった、たった一人の息子なの。あなたの頑固な所、息子とよく似ているわ・・・・・・息子と話しているみたいで、楽しかった・・・・・・ありがとう」

と付け加えて、部屋を出た。

 

一人佇む占いルームの中で、麗魔は一筋の涙を頬に伝わせた。

自分を崇拝し、ひれ伏す質問者や市民は大勢いるが、自分を気遣ってくれる者に出会った事など、一度もない。ましてや、息子とオーバーラップさせていた・・・・・・など、通常ではあり得ないのだ。

千秋にしてみれば、素直な言葉を言っただけなのだろうが、そんな些細な言葉に心を動かされた彼は、ほんの一瞬・・・・・・孤独から開放された。

「安原さんの病は、未知の病原体・・・・・・。呪法医師でなければ、サジを投げるのがおちだろう・・・・・・。絶対に完治するんだ・・・・・・という意思と気持ちを持ってくれれば・・・・・・。その強い気持ちと、鴻の力がかみ合えば、生きていけるし、死ぬ事はないだろう・・・・・・治せるか? 呪法医師」

ここで一旦、言葉を切ったが、すぐに

「また会えるかな」

と続けた。優しい声だった。

 

 


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